やっつぁんの「私プロレスの味方です」(プロレスニュース)

曙が坂口スペシャル試す
 曙(36)がIWGPヘビー級王座奪取を予行演習する。王者ブロック・レスナーへの挑戦(19日、両国国技館)を2日後に控えた17日の大阪大会に緊急参戦することが13日、決まった。長州力とタッグを組み、後藤達俊、ブラック・ストロングマシン組と対戦する。曙の強い要請に応じて新日本側が急きょカードを組み替えた。12日に坂口征二相談役から伝授された秘策を試し、長州力から最終審査を受ける。悲願のベルト奪取へ万全の態勢を整える。

 タイトル奪取にかける曙の執念が実った。レスナー戦の2日前に異例の予行演習の舞台が用意された。曙が声に力を込めた。「ギリギリまで調整できる。ありがたい。『坂口スペシャル』も実戦で試すことができる」。

 当初は11日の愛知大会を最後に調整に入る予定だった。19日の両国大会まで試合機会はなかった。しかし、初のタイトル挑戦を前に中7日では実戦勘が鈍る。さらに12日に坂口相談役から伝授されたレスナー対策を実践する場もない。万全の準備をするために、曙は大阪大会への参戦を直訴していた。

 大会直前のカード変更は興行にも迷惑が掛かる。しかし、新日本側の対応は素早かった。「曙選手から『大阪に自分も出してほしい』といわれた。出てもらえるなら大歓迎です」と関係者は話す。新日本側としても海外に流出したベルトを取り戻すためなら、労を惜しまなかった。

 マッチメークでも曙を全面支援した。レスナーを意識して予行演習の対戦相手には団体3番目に体重が重い115キロのマシンと110キロの後藤を用意した。坂口相談役直伝の「坂口スペシャル」の切れ味を試すには最高の人選。さらにレスナーの必殺技バーディクトと同じ入り方のアルゼンチン式背骨折りを得意とする中西にも、練習への協力を要請する。

 新日本参戦以来、曙の試合を続けてきた長州力が最後のパートナーになる。「技術的なことは何も言わないですよ。勢いはどんどん加速している。あとは迷いがないことだけをチェックして、勢いを加速させるだけですよ」。初挑戦を前にした曙の精神面だけにポイントを絞り後押しする。

 チャンスを絶対にものにしようという曙の熱意が、最高の準備を整えた。あとは自分の持ち味をレスナーにぶつけるだけだ。「押して押して、押しつぶすだけです」。周囲の応援の追い風に乗り、曙が初挑戦で世界最強王者を突破する。【来田岳彦】

[2006/3/14/09:59 「日刊スポーツ」紙面から]