WBCいよいよ明日決勝戦

 【サンディエゴ(米カリフォルニア州)田中義郎、高橋秀明】野球の国・地域別対抗戦「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」は現地時間20日午後6時(日本時間21日午前11時)から、当地のペトコパークで日本対キューバの決勝戦を行う。初代王者に輝くのは、米大リーグ、マリナーズイチローが引っ張る日本か、五輪で過去3度、金メダルを獲得している強国キューバか――。
 ◇キューバ監督 打倒松坂を目指す
 キューバ打線は、WBCとほぼ同じメンバーで臨んだアテネ五輪で、松坂と対戦している。その時は7安打3点に抑えられ、五輪で初めて日本に敗北を喫している。松坂攻略が優勝の条件だ。
 カギを握るのは1番・パレ。打率は2割と低いが、ボール球に手を出さず、ファウルで粘り、投手のスタミナを奪っていく。WBC決勝の球数制限は準決勝と同じ95球。松坂に序盤から球数を投げさせる作戦に出る構えだ。3盗塁をマークしている俊足のパレが出塁すると、盗塁やヒット・エンド・ランを積極的に仕掛け、重圧をかけてくる。さらに3割2分、1本塁打、6打点のウルティア、5割2分4厘のガルロボが下位に控えることもあるほど、9番まで息が抜けない打線だ。
 ベレス監督は「アジアのチームには、素晴らしい投手がいるが、ラテンを代表して戦う。決勝戦は素晴らしい試合になるだろう」と、打倒松坂を目指している。【高橋秀明
 ◇松坂 継投のタイミングに注目
 日本にとってはキューバの強力打線をどう抑えるかが大きなポイント。王監督は「キューバは日本と同じつなぎの野球」と分析し、「どちらがチームカラーを出せるかが勝敗を分ける」と話す。
 決勝の先発は松坂。2次リーグのメキシコ戦では5回無失点。王監督も「調子が上がっている」と頼もしそうに見やる。
 松坂はアテネ五輪1次リーグのキューバ戦で先発し、九回途中まで3失点に抑えて日本に五輪対キューバ戦で初白星をもたらした。
 かつては強打が売り物だったキューバだが、最近では投手を中心に守り抜くスタイルに変ぼう。松坂は「キューバは大味な野球といわれるが、僕の印象は違う。細かくつないでくる。足も使う」と警戒。「クイック投法やけん制も使いたい」と対策も明かした。
 決勝の投球数制限は準決勝と同じ95球。準決勝は上原(巨人)が7回を3安打無失点で切り抜け、流れを作っただけに、松坂がどこまでマウンドを死守するか。継投のタイミングにも注目だ。
 準決勝で集中打を見せた打線だが、決勝ではイチローマリナーズ)、西岡(ロッテ)らの足がやはりポイントになりそう。先取点を奪って、主導権を握りたい。
 「最後の試合、総力戦で戦う。選手は積極的なプレーをやってくれると思う」と王監督。準決勝でイチローの3番起用を的中させた巧みなさい配で、世界の頂点を目指す。【田中義郎】
 ◇リリーフは下手投げの渡辺俊
 日本代表の王監督キューバの強力打線を封じるため、先発の軸だった下手投げの渡辺俊(ロッテ)をリリーフで起用することを決断した。「先発の松坂は本格派で、その後に渡辺俊がくれば相手を幻惑できるんじゃないか」との狙いだ。
 松坂は150キロ近い速球と高速スライダーが武器。渡辺俊は世界的には珍しい下手から120キロ台の直球と90キロ台のカーブを投げ分ける。対照的な2人を並べることで、コンパクトにバットを振り抜いてくる相手打線のタイミングを狂わせようと考えた。
 日本は1次リーグから一貫して先発は上原、松坂、渡辺俊の順番を守ってきた。しかし、最後の最後で王監督は思い切った策に踏み切る覚悟を決め、「松坂、渡辺俊、大塚(レンジャーズ)の3投手で試合が終われればベスト」とも話した。
 渡辺俊は「シドニー五輪で(キューバに)打たれたが、僕自身のイメージが変わっているだろうし、相手も(メンバーが)変わっている。どんな展開であれ、勝利に貢献したい」と意気込んでいる。【田中義郎】
 ▽イチロー 決勝に出場するメジャーの選手が大塚さんと2人というのは誇りに思う。今回は初めて日の丸を背負っているが、それがモチベーションを上げている。
 ▽松中 アトランタシドニー五輪と僕自身、キューバに1回も勝ったことがない。スライディングなど激しいプレーをしてくるチームだが、強い気持ちを持って戦う。勝てるように全力を出したい。
 ▽福留 第1回大会で決勝まできたので一生懸命戦う。個人的な結果より、チームの勝利に貢献したい。

[ 3月21日 0時17分 更新 ]・・・毎日新聞記事